第13回(2015年)上映作品
イラク チグリスに浮かふ平和(108分)
大量破壊兵器保有を口実に、2003年3月の米英軍によるバグダッド空爆から始まったイラク戦争。
これまでに10万人以上のイラク人が命を奪われた。2011年にオバマ米大統領が「イラク戦争終結」を宣言し、米軍はイラクから撤退したが、いまなお混乱は続き、2014年8月に米国はイラク北部を再び空爆した。
おびただしい死者と引き換えに、イラクの人々が時折抱いた希望は浮かんでは消え、“イラクの春”は、砂塵と爆音のかなたにかすむ。日本も支持した戦争は何をもたらしたのか?
2013年3月、ジャーナリストの綿井健陽は、これまで出会ったイラク市民の写真を手にバグダッド市街を走り回っていた。開戦前夜、空爆、米軍による制圧と占領、宗派抗争、爆弾テロ……様々な局面を取材し続けてきた綿井。かつての少女は大人になり、ともに戦火をくぐりぬけ、親交を深めた友は命を落としていた。
開戦当時三十代だった綿井自身が不惑を過ぎた。生き残ったイラクの人々は、終わることのない戦乱に疲れ果てていた。それでもなお、「戦争の日常」を懸命に生きる彼らの姿と表情と言葉を映像に刻みつける。
FIPA(国際テレビ映像フェスティバル)特別賞
ー Young Europeans Jury Special Prize
第6回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル 大賞
綿井 健陽 監督
1971年生まれ。
映像ジャーナリスト、映画監督。『Little Birds イラク 戦火の家族たち』(2005)で、ロカルノ国際映画祭2005「人権部門最優秀賞」受賞。
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