“私”を生きる(138分)  監督:土井 敏邦

“私”を生きる(138分)  監督:土井 敏邦

職員会議では職員の意向を確認するための挙手・採決を行うことを禁止され、卒業式や入学式で国家である君が代の斉唱・起立を職務命令で強制されるなど、教師たちの言論が、急激に統制されてきている東京都の教育現場。

その巨大な流れに抗う3人の教師たち、根津公子、佐藤美和子、土肥信雄。教育における自由と民主主義を守るために孤独な闘いを続ける彼らに対する弾圧は、身体をも蝕むような理不尽さに満ちている。

根津公子さん「『教員を続けるために起立しては』と言われるけど、私は『いまの状態は危ない。上からの命令に黙って従うことは恐ろしい明日を創ってしまう』と子どもたちに身体ごと訴え、伝えていく責任があります。それが今、一番必要な教育だと思っています。」

土肥信雄さん「教育がどんどん右傾化している。言論の自由がなくなったときに、戦前の日本に戻るのではないかという恐怖心があります。以前は不安でも言えなかったが、今いわなければ、あの時の一点になっていなければ後悔する、その後悔だけはしたくなかった。」

佐藤美和子さん「つらいと感じる自分の存在に意味があると思えるようになりました。カナリヤが炭鉱の危険を知らせるように、強制がもたらす苦しみ、今の学校の危険、この国が進む方向の危険を知らせる役割を担うことができれば幸せです。それが私の役目だと思います。」

『”私”を生きる』は教育論を超えて、自分が自分であるために歩んできた人々の物語である。

土井 敏邦(監督)

土井 敏邦(監督)

1953年佐賀県生まれ。フリー・ジャーナリスト。
1985年以来、パレスチナをはじめ各地を取材。1993年よりビデオ・ジャーナリストとしての活動も開始し、パレスチナやアジアに関するドキュメ ンタリーを制作、テレビ各局で放映される。2005年に『ファルージャ 2004年4月』、2009年には『届かぬ声—パレスチナ・占領と生きる人々』全4部作を完成、その第4部『沈黙を破る』は2009年度キネマ旬報ベス ト・テンの文化映画部門で第1位を獲得。現在、『飯舘村─故郷を追われる村人たち─』、『ガザに生きる』全5部作を制作中。主な著作に『パレスチナの声、 イスラエルの声』(2005年)、『沈黙を破る─元イスラエル軍将兵が語る“占領”─』(2008年)(いずれも岩波書店)など。

予告編

“私”を生きる 予告編